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2007年05月07日

ポートフォリオ理論


資産運用の基礎として、投資家の間で常識となっている「ポートフォリオ(分散投資)」。日経225を利用する際にも、捉えておきたい知識です。

ポートフォリオの概念

資産運用のリスク回避の手段として「ポートフォリオ」という概念があります。1つのマーケットに集中して投資するよりも、複数の種類のマーケットに投資した方が、あらゆるリスクを軽減させることが可能となります。

いわゆる「分散投資」です。ポートフォリオを形成する際には、リスクの高いものと低いものを組み込むのが一般的です。例えば「資産価格のブレ」によるリスク。

一定期間で資産価格の変動が大きいものはリスクが高く、変動幅が小さいものはリスクが低いといえます。このような商品を組み合わせる事でも、損失をカバーすることができます。

株式・投資信託・債券・外貨投資・不動産投資など、あらゆるマーケットに着目しますが、こういったリスク性のある商品だけでなく、普通預金などの安全資産もポートフォリオの領域となります。

ポートフォリオの中の日経225

メリットのコーナーでも簡単に触れましたが、ポートフォリオの中に現物株式がある場合には、日経225はリスクヘッジの手段となり得ます。

日経225先物で空売りをすると、個別銘柄の株価が下がり日経平均株価が下がったときに、片方では損失がでてももう片方では利益がでるようになります。

また、個別銘柄の株式を保有するということは、その企業の倒産リスクと背中合わせの状態にあるということにもなるので、そういったリスクの補填にも活用することができます。

相場を読むポイント

相場を読むポイント

資本主義経済体制下においては、景気変動は避けることのできない現象です。このような状況の下で投資をするのですから、あらゆる分野の動向に敏感になっておかなければいけません。新聞などでチェックしておきたい項目を列挙してみました。

国内景気

・GDP(国内総生産)の実質成長率
・製造業の設備投資総額
・消費者物価指数
・日銀の金融政策について(公定歩合の引き下げ・引き上げなど)
・行政の規制緩和(引締め)について

国際経済

・外国為替相場
・国際収支(貿易収支)
・各国の貿易政策について
・資源(石油・天然ガス・非鉄金属鉱物資源など)価格の変動

投資動向

・外国人投資家の動向(ヘッジファンドなど)
・年金・公的資金の流入(用途)について
・各企業の戦略(合併などの企業再編・リストラクチャリング・設備投資)

225以外の株価指数先物取引

ここでは日経225先物以外の株価指数先物取引について簡略的に説明します。

東証株価指数(TOPIX)先物

88年取引開始。TOPIXは東京証券取引所が算出、公表している株価指数です。

東証第一部上場銘柄(1500銘柄以上)をカバーし、日本経済のバロメータとしての役割もあります。

日経平均株価の変動は輸出関連・ハイテクなどの値がさ株による影響が大きいのに対し、TOPIXは時価総額の大きい大手銀行株をはじめ、内需関連株による影響が大きいとされています。先物は東証に上場しており、取引単位はTOPIXの10,000倍です。

日経300株価指数先物

94年取引開始。日経300は日経新聞社によって作られた株価指数で、東証1部上場銘柄300で構成されています。

先物は大証に上場しており、取引単位は日経株価指数300の10,000倍となっています。

デリバティブいろいろ


ここでは日経225のような「先物取引」以外のデリバティブ(金融派生商品)を紹介します。

オプション取引

一定の期間内に、一定の価格で売買する「権利」を「オプション」と言います。

オプション取引の基本パターンはコール(買う権利)の買い・売りとプット(売る権利)の買い・売りの4種類になります。

先物と同じように、現物株の値下がりに対するリスクヘッジとしても有効です。

スワップ取引

スワップとは、「交換」という意味で、等価のキャッシュ・フローを交換する取引の総称です。

2つの当事者が同じ価値をもつ「将来の一連のお金の流れ」を交換する取引です。

異種通貨の交換(通貨スワップ)や異種金利の交換(金利スワップ)等があります。

日経225先物の今後


市況ニュースなどでは「日経平均は先物主導で上昇し・・・」などと聞くことも多くなりました。

デリバティブ商品が増え、デリバティブ・マーケットが拡大したことにより、先物取引が現物の株価に影響することが増えてきたようです。今や日本の株価指数先物取引は、年間合計売買代金などに関しては世界のトップクラスの位置にあります。

日経225は悪役?

先物は「裁定取引」によって、現物株の値動きに多大な影響を与えます。先物が現物よりも割高な時に、先物を売って現物を買うという「裁定取引」は、一時的に現物買いによる相場全体の上昇を促します。

しかしこの取引の解消、つまり現物株の売りが始まると、相場を圧迫することになります。

従って現物買いのみを好む投資家からの批判が起こることもありますが、その批判とは裏腹に、日経225は着実にファンを増やしているのです。

日経225はプロ受けがいい?

日経225が先物市場でシェアを伸ばし続けるのには、いくつかの理由があります。以下は私なりの見解です。

・相場を読む力に優れている機関投資家や証券会社のディラーなど、巨額資金を運用する投資家に好まれているのではないか?

・ファイナンシャル・プランナーなどの金融系の資格が普及し、「資産運用」という概念が身近なものになった。それにより投機的商品に関するしっかりとした知識を持ち、その上でチャレンジする投資家が増えのではないか?

・国内景気は上昇傾向にあるものの、個別企業の業績の伸びはイマイチ。個別銘柄を現物・信用などで取引するよりも、相場全体をカバーした日経225であれば、よりアクティブな取引ができると考える投資家が多いのではないか?

以上のような推測を立ててみましたが、いずれも共通するのは「経済・金融の知識に富み、その知識に裏付けされた積極性を持つ」人々が携わっているという点です。今後もさらにこのような投資家が増え、日経225は先物市場だけに限らず資産市場全体におけるシェアを伸ばし続けるのではないでしょうか?